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令和5年度 卒業式 送辞
2024-03-04
送辞
 
厳しい冬の寒さも和らぎはじめ、東からの風の薫りに春の訪れを感じる今日の佳き日。晴れて熊本中央高等学校卒業式を迎えられました卒業生の皆様、ご卒業誠におめでとうございます。在校生を代表し心よりお祝い申し上げます。
いよいよ、先輩方とお別れをする日を迎え、これまでの先輩方との様々な思い出がよみがえってまいります。先輩方の前ではどうしても緊張してしまう私たちを和ませてくださったこと。スランプに陥り、悩みを抱えた時、優しくアドバイスしてくださったこと。休み時間や放課後の先輩方との何気ない一場面が、私たちにとって忘れられないかけがえのない思い出です。
こうして、先輩方と過ごした日々に思いを馳せますと、「音」という一文字が浮かびます。先輩方は熊本中央高等学校での3年間で、どのような音を聴いてこられましたか。自転車のタイヤが擦れる音、階段を駆け上がる足音、校舎に響くチャイムの音、教室から漏れる笑い声。形には残らないこの些細な日常の音に、先輩方の3年間が詰まっていると私は思います。2月になり先輩方が登校しなくなった本校の校舎は静けさに包まれていました。校舎を歩けば当たり前のように聴こえてきた先輩方の奏でる「音」が聴こえなくなった日々の中で、先輩方の存在が当たり前ではないということ、先輩方の存在の大きさに気付かされます。
 私は1年の夏から生徒会の一員になりました。生徒会室で初めての加寿美祭の準備をしていた時、どんなに大変な状況でも前向きに、作業に取り組む生徒会の先輩方の姿を今でも覚えています。その後、加寿美祭本番を迎えて、学年の隔てなく盛り上がっている様子を見て、学校行事が生徒全員をつなぐ大切なものだということを実感しました。だからこそ、生徒会はどんなに大変な状況でも前向きに頑張れるのだということも先輩方の姿を見て学びました。このような経験はきっと私だけではないと思います。それぞれの学科で、それぞれのコースで、それぞれの部活動で、同好会で、目標に向かって邁進される先輩方の姿を私たちは見てまいりました。目標の実現は簡単ではないことも、だからこそ、実現した時の喜びが大きいことも、先輩方の姿を見て学びました。次は私たちが、先輩方から学んだものを繋いでいく番です。私たちも先輩方のように後輩の目標となれるよう、精進してまいります。そして、4月から入学してくる後輩たちと力を合わせて、新たな「音」を奏でていきたいと思います。
 先輩方は今、新たな世界への入り口に立ち、まだ見ぬ未来へ歩みはじめようとされています。その道は、決して平坦な道ではないかもしれません。上手くいかないこともあるかもしれませんが、そのようなときは瞳を閉じて、思い出してください。ここで出逢った仲間と共に過ごされたかけがえのない日々の記憶が先輩方の勇気となり、原動力となるはずです。私たちも熊本中央高等学校から、先輩方を応援しています。
 名残はいつまでもつきませんが、お別れの時です。先輩方のご健康と益々のご活躍を心からお祈りし、送辞とさせていただきます。
 
令和6年3月1日
生徒会会長 蜂屋 友菜