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令和4年度 卒業式 答辞
2023-03-01

答辞

 冷たい風の中にも、柔らかな日差しが注ぎ、春の訪れが感じられるようになりました。本日は私たち卒業生のために、心温まる式を挙行して頂き、ありがとうございます。また、先生方をはじめ、保護者の皆様にもご臨席を賜り、卒業生261名を代表して、厚く御礼申し上げます。

 3年前、真新しい制服に身を包み、熊本中央高校の門をくぐったあの日から、あっという間の3年間でした。入学式が行われるはずに時期に、世界中に未知のウイルスが流行し始め、先の見えないまま、1か月遅れでの入学式となりました。短縮授業や繰り返される休校。マスク越しの会話。本来であれば当たり前に行われるはずだった学校行事も、その楽しみを奪われ、制限の多い高校生活がスタートしました。しかし、熊本中央高校に入学し、私はその「当たり前の有難さ」を沢山感じ、かけがえのない思い出を作る事ができました。1・2年生では体育祭が中止となり、学年でのミニ運動会が実施されました。私たちにとって初めての行事で、大変嬉しかった事を覚えています。ミニ運動会では、靴飛ばしやじゃんけん列車、〇✕クイズなど、ユニークな種目ばかりでとても楽しかったです。3年生の時には、最初で最後の全学年での体育祭が行われました。リレーや綱引きでは白熱した戦いが繰り広げられ、先生方の熱い実況により、さらに盛り上がりました。また、吹奏楽部の校歌演奏には心が躍りました。

 文化祭でのステージ発表。大勢の前で堂々と発表する同級生の姿を見て、とてつもない練習を重ねたのだろうと、感動させられました。有志での発表に挑む仲間の姿には、一人ひとりの魅力が表れていました。先生方の慣れないティックトック動画には、会場が笑いに包まれました。

 そして、私たちが一番楽しみにしていた修学旅行。準備が着々と進んでいた矢先、コロナウィルスの再流行により、中止となってしまいました。修学旅行の代わりに、グリーンランドに行ける事になり、大雨の中でも、仲間たちと一緒に過ごせるだけで、天気の事を忘れるくらい楽しかったのを覚えています。

 10年に1度の氷点下の中でのクラスマッチ。男子の豪快スパイクは、寒さを吹き飛ばすほどの迫力がありました。各コートで熱戦が繰り広げられ、いつも以上にクラスが団結していったように思います。

 私たちはここで、一生忘れる事のない大切な時間を過ごしました。

部活動や生徒会活動と勉強との両立を図り、切磋琢磨しながらいくつもの壁を乗り越えてきた時間。

1つの作品を多くの人の心に届けるために、日々制作に励んだ時間。

商品開発、フィールドワーク、スキルアップで沢山の経験や学びを積んだ時間。

福祉への学びを深め、介護初任者研修にクラス一丸となって全員合格を目指した時間。

資格取得のために、休日も学校に登校し、努力を続けた時間。

宣誓式や病院実習など、夢に向かって全力で取り組んだ時間。

それぞれの学科・コースで、熊本中央高校でしか学ぶ事のできない経験を沢山させていただきました。ここで成長する事ができたのは、沢山の人との出会いのおかげです。

 先生方へ

多くの学校行事が中止となり、普段の学校生活でも我慢をさせているからと、私たち生徒を楽しませるための企画を沢山考えてくださいました。進路実現のために書類を準備してくださり、面接や小論文指導では朝早くから放課後は外が真っ暗になるまで、私たちのために一生懸命になって下さる先生方の姿を、毎日見てきました。先生方は優しく、時には面白い事を言って笑わせて下さいました。叱られたこともありました。挨拶や礼儀を厳しく教えてくださいました。どんな時でも、温かな愛情で包んでくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

 仲間たちへ

私が熊本中央高校に入学して、一番良かったと思える事。それは、最高の仲間に出会えた事です。私は男子バドミントン部に所属し、中学生の時からのライバルと高校でチームメイトとなり、全国大会出場を目標に、朝早くから夜遅くまで練習を重ねてきました。初めの頃は、意見のすれ違いから部員同士でぶつかり、何度も話し合いを重ねました。練習が苦しく、辞めたいと思う事もありました。それでも、同じ目標に向かって鼓舞し合える仲間がいたからこそ、頑張ってこられたのだと感謝しています。今では、心から信頼し合える大切な仲間です。大学進学に向けて、受験勉強に励む日々が始まり、自分との闘いは辛い事が多くありました。それでも、友達の顔を見るだけで、教室でくだらない話ができるだけで、心の中のもやもやが吹き飛んでいきました。私が合格した時、私以上に喜んでくれる親友がいました。私にとって、ここで出会えた友人は、喜びも怒りも悲しみも、全て分かち合える存在です。沢山支えてくれてありがとう。

 私たちは昨年、1人の大切な友人を亡くし、1人の大切な先生を失いました。今日一緒に卒業式を迎えるはずだった友。毎日見てきた笑顔や、他愛のない会話。それは当たり前ではないという事。命の尊さを感じました。大切な人の死と向き合わなければならない事。今でも「どうして」という気持ちで悲しみは消えないけれど、私たちは大切な友、大切な先生の想いを胸に、前を向いて一日一日を歩んでいきます。

 在校生の皆さんへ

部活動生は、3年生になれば最後の高校総体・総文祭、そして進路実現に向けての日々が始まります。きつく、苦しい事もたくさんあると思いますが、乗り越えた先には明るい未来があると信じて頑張って下さい。先日の予餞会では、私たちのために面白い動画を作成してくれて、ありがとうございました。学校行事では、私たち3年生と一緒に盛り上がってくれ、本当に嬉しかったです。これからも後輩の皆さんの活躍を、心から願っています。

 そして、18年間育ててくれた両親へ

どんなにわがままな事をしても、いつも優しく見守ってくれたお母さん。仕事をしながら、私よりも早起きをしてお弁当を作り、夜は帰りが遅い私に、栄養たっぷりのご飯を作って待っていてくれました。家族の為に働いて、休みの日には家の仕事をしてくれるお父さん。高校生になり話す機会は減ってしまったけれど、私のやりたい事に沢山挑戦させてくれました。両親には感謝の気持ちでいっぱいです。卒業後は実家を出て、県外の大学に進学しますが、必ず恩返しができるように頑張るので、これからもよろしくお願いします。

 

 今日から私たちは新たなスタートを切ります。常に周りの人への感謝の気持ちを忘れず、この学び舎で出会えた先生方や仲間たちとも思い出を胸に、前を向いて未来への道を歩んでいきます。

 最後になりましたが、これまで私たちを支えて下さった全ての方々に、改めて御礼を申し上げると共に、熊本中央高校の益々の発展を祈念して、答辞といたします。

                                               令和5年3月1日   

                                               卒業生総代 吉岡 太陽